燃えひろがり試験が必要な理由


試験方法1

日本の建築基準法には外壁の非損傷性、遮炎性に関する規制があるが、外装材の燃えひろがりに関する定めはない。
「低層建築物でも、避難困難者が見込める医療施設や福祉施設などでは、建材選定で不燃処理済みか否かを考慮した方がいい。
外壁の燃えひろがりに関して、国土交通省が規制を新設したり強化したりする動きは、現時点では見えない。
これらの対策の必要性は設計者の判断に委ねられているのが現状だ。法定の防耐火性能は、火災による死亡や建物倒壊を防ぐための最低基準にすぎない。

日本でも類似火災が発生

金属パネルを張った住宅で燃え広がり
大阪市消防局の管内で発見された金属パネルを張った4階建て住宅の火災現場。金属パネルが上層階に向かって延焼している。
(写真提供:大阪市消防局)

日本でも、住宅の外壁に張った発泡系の断熱材が上階に燃えひろがる火災が過去に発生している。大阪市消防局が09年11月から10年4月に同消防局の管内で4件発見した。
使用していたのは、硬質ポリウレタンを芯材とする金属パネルだ。

消防局が金属パネルで再現実験を実施
外側から着火したわずか1分35秒後に、
パネルの裏側が700℃に達し、その熱によって芯材が燃えひろがった。
(写真提供:大阪市消防局)

3秒以内に炎が消える

JIS(日本工業規格)A9521に示されてた燃焼性試験で自己消火性を確認した建材をメーカーが自主的に使用していること。
自己消化性とは材料を火に5秒間接触させてから遠ざけ、3秒以内に自然に消える性能を指す。


3秒以内に火が消える

JIS A9521に基づく燃焼性試験の方法。
3秒以内に炎が消えて、燃焼限界線を越えて燃焼しないことなどを確認する。

もう1つは00年以降、市街地に住宅を建てる場合に、「防火構造」や「準耐火構造」などの大臣認定を取得した工法を採用するよう建築基準法が改定されたことだ。防火構造では、近隣で火災が発生しても、外装材と断熱材、内装材の組み合わせによって、20分間もしくは30分間は室内へ火が到達しないことを試験で確認している。

試験方法1

防耐火構造試験は組み合わせで評価

建基法に基づく防耐火構造試験の様子。外壁材、断熱材、内装材を組み合わせた幅3m以上、高さ3m以上の壁を試験体とする。
通気工法は通気層に入った火が通気層から逃げないように、上下をセラミックなどで塞いで試験する。

建基法上の2つの死角

大臣認定の仕様を使っていても、火災リスクに結び付きかねない建基法上の死角がある。
その1つは、壁と壁や開口部、床、天井などとの接合部から火が入ることだ。防耐火構造の試験でも、この点までは確認していない。
特に開口部は外壁の断熱材や通気層を貫通するので、火が入り込まないようにする必要がある。

2つ目の死角は、通気層や断熱材、外装材を通して、大臣認定では想定していない上階への燃えひろがりが起こることだ。
旧建設省はそのリスクに備え、通気層内に上階延焼を遅らせるファイヤーストップを3m以内の間隔で設置するよう
「準耐火建築物の防火設計指針」に記載している。

00年の建基法の改正以前は、建築主事が準耐火建築物にファイヤーストップの設置を求めるなどしていた。
改正後は、建築確認業務の民間開放などに伴ってそうした対応が減り、3階立ての住宅でもほとんど設置されていない状態となった。

試験方法1

不燃材料は燃焼時間を見る

建基法に基づく防火材料試験方法の1つであるコーンカロリーメータ試験の様子。
建築資材の試料を加熱して燃焼時間を推定する。
不燃材料の要求時間は20分間、準不燃材料は10分間、難燃材料は5分間


現行の壁面耐火試験

試験方法1   

試験方法1 試験方法2

試験方法1
ISO 5660より
     

JIS制定以前の現状



 ▶ 1)省エネ、快適室内環境、低炭素建築などの観点から
   樹脂系建材や木質材料を建築物外装にもっと使いたいが、明確な火災安全性判定基準がない。
 ▶ 2)日本にはそれまで外壁の火災安全上の指標としては、
   躯体部分の「耐火性能」を評価する火災試験しか存在せず(←欧米諸国には存在する)。
 ▶ 3)日本でも使える実用的な(できれば簡易的な)防火性能試験方法がほしい。


 ▶元々は2011年に建築研究開発コンソーシアム(CBRD)で始めた
  「有機系外壁材の燃えひろがり抑制」の勉強会(発足時35団体)
  での各種火災実験や国内外技術調査、国際シンポジウム等の成果が集約されたもの。

日本国内の状況1

日本国内の状況

広島市基町高層住宅火災

  日本国内の状況1   

規制されアクリル板はバルコニーに使えなくなった。

日本国内の状況

日本国内の状況(外断熱工法からの観点から)


 1)昭和60年(1985年)旧建設省建築指導課長通達
   「耐火構造の外側に施す外断熱工法の取扱いについて」
   「外断熱工法に係る防火性能試験方法」が提示されたが、試験自体は
    単純炉内加熱であり、外装燃えひろがりの評価は対象外。
 2)平成12年(2000年)改正建築基準法の施行
   「性能規定化」により上記通達は消滅。
 3)平成14年(2002年)日本建築行政会議の見解
   「耐火構造の外壁に木材、外断熱材等を施す場合の取扱い」
   ①外壁に一定の性能を有する外断熱材(不燃系)を施す場合は、
   それぞれの構造に必要な性能を損ねないと判断できる。
   ②RC造等の外壁については、有機系の断熱材(JIS A9511)を施すことも可能である。
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